manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

答えのない問題への向かい方

みなさん、こんにちは。

 

今度、部下で部長職にチャレンジするメンバーがいまして、模擬面談をしました。私も部長職にチャレンジする際には、模擬面談をしていただき、本番よりもよっぽど厳しい面接官に圧迫された思い出があります。今となってはそれはそれでよい思い出です。試験はとある部門に新しく赴任するケース・事例があり、パワハラ的な課長とマネジメントしない課長がいて、そんな中で新たな目標がセットされているようなそんなシチュエーションで、これにどう立ち向かうかを問われます。

 

このケースという題材と面接での受け答えというふたつの事象が少し妙な状況を生み出してしまいます。ケースといえば、MBA的なケーススタディということで、現実的にできるかどうかの能力があるかどうかはさておき、こうあるべきだろうと論じてしまします。情報が限られているので止む無しです。次に面接という場面では、適切に受け答えせねば、という心理となってしまうようで、どうも質問への応対が薄っぺらく、キレイな話となってしまいます。試験といえば、正しい答えがあるはずだ、という思い込みですね。

 

「話してくれた対策がうまくいかなかったら、どうしますか?」という問いに対して、こうすればうまくいくのだとその彼は答えてくれます。さて、みなさん、日頃のマネジメントの情景を振り返ってみて、そのようにうまくいくようなことが身近には転がっていないことに気づくと思います。そう、日頃、使えない部下と使えない上司に囲まれて、色々なことを諦めたり、騙し騙し仕事をしてもらったりしながら、ようやく少し前に進むようなことを繰り返しているはずなのに、ケースと面談となると途端にキレイになってゆきます。

 

その部下も若干キレイ好きなところがあるものの、基本的にはそれなりにマネジメントのできる人材です。ですが、模擬面談での受け答えだけを聞いていると、「あ、こいつダメだな」と思うような感じの答えになっています。ここで問われていることは、矛盾を孕んだ問題や答えのない問題にどのような姿勢で向かうか、ということなのだと思います。なのに、正解を答えようとしてしまう。組織マネジメントには必ずこうすればうまくいくという必勝法のようなものはなく、自分のリーダーシップと組織を構成するメンバーとその際のコンディションにより、対策は様々であるべきです。少し対策してみて、様子を見て変化させていくのも日常ではよくあることでしょう。

 

ということで、面接での応対は、自分のリーダーシップの強みは何で、この組織を構成するメンバーの特徴はこうで、なので、自分のこのような強みをこのタイミングでこのように発揮する。そうするとこういう反応になると想定して次の手を打っていくという受け答えであるべきでしょう。当然うまくいかないことにも、うまくいかない理由はこれだろうと仮説を置いた際に、その課題に対しては、このように当りに行くということになるのだと思います。

 

もしかするとみなさんは「このようなケースと面談という営み」で、人のリーダーシップを測る行為そのものに対して少し疑問を感じてしまうかもしれません。ただ、不思議なもので、この手の話を伺っていると、本当に組織をマネジメントした経験があるのか、組織のリーダーとなるのに適しているのか、などが透けて見えてきます。そもそも人と組織という面倒な対象に対して向き合えるかどうかは、あるタイミングできちんと評価した方がよいというのが私の意見です。部長になってから、足りない!と分かってしまうのは少し切なすぎますね。「足りない」と書いているところがミソで、この力は訓練することができますので、折に触れ、組織マネジメントの観点から日々の行動を振り返って、言語化してみるのがよいと思います。