manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

役割分担とタテの弱さ

みなさん、こんにちは。

 

以前、大企業出身の方が中小企業でうまく仕事を回せないことを取り上げました。役割分担で構成されている大企業で培われた仕事観に沿って昇格してきた方々は、役割分担の範囲を越えて人に働きかけていくことができません。そもそもそういう行為が許されていないと捉えている節もあります。言葉にするのが難しいのですが、役割分担を越えてコトに当たる。この感覚を捉えないと、うまく前に進めないように思います。

 

役割分担を越えて人に働きかけていくには、上司部下の権力に則って人を動かす以外の力が必要になります。いわゆる人としての信頼だったり、この人に頼まれたら仕方ないよなぁ、というような類の力になります。実は、大きな企業でもこの手の力は必要で、例えば、ある企業を買収しましょうというようなプロジェクトの場合、人事部や経理部、関連する事業のメンバーが自分達の通常の仕事に加えて関わっていただくことになります。そのプロジェクトは権力で支配されているわけでは当然ありません。ある目的のもとに集ったメンバーがみなさんの専門性を発揮していくには同じような力を持った方がプロジェクトに関わっていないとプロジェクトが暗礁に乗り上げた瞬間に瓦解してしまいます。

 

話を戻して、大企業でとある部門に入社して、与えられた役割を粛々と果たし、そのパフォーマンスが良くて昇格してきた方々は、上記のようなシーンに遭遇することはあまりないままに会社人生の後半に差し掛かることが多いと思います。運が良く、この仕事観のまま役員や社長になったとして、社長や役員の立場で部下に指示を出していくとして、その瞬間、自分のイメージ通りに組織が動かないことを感じるのではないかと思います。なぜなら、組織の長になると、これまでの役割分担では解けないような課題が目についてくるからです。例えば、クロスセルをしよう、人事の枠組みを変えたい、入金をよくしたいなどなど、経営をよくしていくためにやるべきことは山ほどあります。ですが、どれも動かそうとしても動かない。

 

組織の長である自らがリーダーシップを発揮してことに当たることが特効薬としての対応ですが、そのようにコトにあたったことがありませんので、対処に困る。一方、部下にいわゆる「何でも屋」のような方がいた場合には、その方に課題を落としまくることになります。後者の場合は、その方の対応力次第となりますが、それほど勘良くことにあたれる人は多くはいないでしょうから、得意なことに得意なように当たっている状態となればよい方だと思います。もう少し言うと、何か解くべき課題があると考えてそれを解こうとする人はまだよくて、組織の長として乗っかっているだけの方もいるかもしれません。

 

と言うことで何が言いたいかというと、私の場合は大企業出身ですが、経営企画のような場所で組織のタテの権限構造に頼らず仕事をしていたが故に、中小企業での物事の動かし方を理解できているものの、タテのラインで育ってきた方々にこのことを理解してもらうのはすごく難しいと言うことです。うまく言葉にできませんが、「肌感覚」としてご理解いただけないように思います。とはいえ、この感覚がないままでは、ご活躍いただくことは難しいので、さてどうしたものかと悩んでしまいますね。