manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

空想と現実

みなさん、こんにちは。

 

いわゆる成熟市場で競争が激しく、生き残りをかけた戦いだー、ということで、みなさん変わらないといけないのです。と、何処かの会社の社長が熱を込めて語っていたとします。また、ある会社ではせっかく作った中計なので、従業員や管理職と対話して、皆に理解を深めてもらいたい。みんなに頑張ってもらうためにも、納得してもらいたいと思い対話会をするかもしれません。これらは確かに正しいことです。ですが、多くの社員に同時に語るほどに、中身は薄れていきますので、なかなか伝わっていかないでしょう。そういう意図でそういう言葉を使ったんじゃぁないんだと。あの社長は分かってないなぁ。なんて、不満の声が聞こえてくるかもしれません。ですが、社長は我が社の戦略はこうでここを目指しているのですと語り、おおよそ多くの社員からは、ふーん、そうなんだ。でも、我々は日頃の仕事・目の前にある仕事で忙しいので、まぁ、誰か頑張ってください。というように受け止めるでしょう。

 

また、よっしゃ、君たちは戦略事業だ。投資するよ、ということで、会社から新事業のために投資をしてもらった人達がいたとします。お金を使い切らないうちに、すぐに問われるのは「いつ回収するの?」という問いかけで、また、そんなにうまく事業も立ち上がるはずもなく、なんか、手を挙げた人がオラオラどうすんだと追い込まれて、負ける構造になることもあるでしょう。更に、新しい事業をするには人が変わらないといけない、だったり、今いるお客様じゃぁないところに行かなければならないのに営業マンはいませんとできない理由が続々と出てきます。

 

このような話は多くの会社で実によくあることなのだと思います。チャレンジしないことを嘆いたり、事業が立ち上がらない、思い描いた戦略がその通りにできないと嘆く前に、議論することがあるように私は思います。それは、まず最初に何をするかの順番の話です。最初の一歩をどう踏み出すか、これが大切だと思います。象徴的な成功事例を獲得する、それを社内で大々的に打ち出して、関わった人たちを昇格させて夢を見てもらう、そんなことでもよいかもしれません。また、これからは実力主義だー、と人事制度変更をドーンと打ち出して、実際に事業を大きくした人を取り立てて昇進させることでもよいかもしれません。

 

何を言いたいのかというと、そういう象徴的な出来事があって、実際に身の回りに変化がないと、それは妄想や空想を一生懸命に偉い人が語っている以上のことは何も起きてこないからです。かく言う私も、経営企画なんてところに長くいたものですから、やはり戦略やポートフォリオをどうやって入れ替えていくのか、競争優位はどこにあるのか、なんて議論は大好物ではありますが、実際の実行局面においてはやはり空想の域を出ていないように感じます。だって、身近にないわけですから、信用もできませんし、実態もありませんし、存在していません。まずは現実世界で何を起こし、それをどう大きくしていくか、その仕組みづくりがとても大切なように感じています。