manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

自然な強さ

みなさん、こんにちは。

 

以前、とある事業部の若手と社長の対話会に、何故か参加することになり、同席しました。そのとある事業部長からは盛り上がらなかったら、面白いことを言って場を盛り上げてと頼まれていましたが、そんな心配は必要ないくらいに、適度に盛り上がってよい雰囲気で会は進み、最後に「どうしても、見たい!」ということで、社長室を見学して会はお開きになりました。秘書は嫌がってましたが、笑ってごまかしたことを覚えています。さて、その中で、記憶に残っている社長の言葉があります。「君たちにはまだわからないだろうが、自分より優秀な部下を育てることが大切になるんだよ」と。

 

さて、この話は聞いてメモするだけであれば、とても美しい話ですが、現実に落とし込んでみると難しいことがわかります。

 

過去に人材交流を考えていて、出す方は双方の上司が知っているので、すぐに決まりましたが、受ける方は全く知らない人でした。ですが、出す側の上司を信頼して、受け入れることにしました。「どんな人ですか?」と尋ねたところ、「いいやつだから、大丈夫ですよ」という答えでした。

 

異動後に、ようこそと思って、出した部下が担っていた仕事をその人に任せようとしました。ですが、どうにもうまくいきません。出した部下は日本トップクラスの大学卒で、ロジカルな課題の整理には長じており、私はとても重宝していたわけでした。ただ、新たに受け入れた部下はそうではありません。ということで、早々に諦めて異なる仕事をアサインして、そちらで活躍してもらうことにしました。この判断がよかったと思います。というか、この判断をせずに、「ロジカルシンキングを鍛えなさい」なんて指示を出そうものなら、できるようになるのに時間はかかるは、おそらく好きではないだろうから、学んでほしいと言葉を尽くして説明しようが、なかなか取り組んでくれなかったでしょう。

 

ただ、彼にはとてもよいところがあります。そう、「いいやつ」なんです。対人関係が難しいところにも、フットワーク軽く乗り込んでゆきます。場を盛り上げるのもとても上手です。いろんなところに顔も売れていて、人気ものです。これは本当に素晴らしいことです。このよさを使わずしてロジカルシンキングって、あなた何を間違っているの?と今になって振り返れば、最初の仕事のアサインの選択が間違えていることがよくわかります。結果、うまく回ってよかったのですが、この判断は10年前の自分ならおそらくできなかったように思います。きっと、「まず、ロジカルシンキング」としていたに違いありません笑

 

ここで冒頭の社長の話に戻ります。ロジカルシンキングって、自分が仕事を成すためには部下が習得していた方が望ましいスキルであることは確かです。そして、自分も保有しているスキルです。いろいろ話をして協同していくには、あったほうが望ましいwantです。ですが、そこに拘泥し、苦手でやりたくもない学習をさせる時間と労力を強いることで、彼が「自分を超える部下」になるのかというとそうではないでしょう。人工的にスキルを植え付け、劣化版のコピーロボットを何台作っても、その中から自分を超える部下は登場しません。自然な強みを見いだし、そこを強みだと認識してもらい、さらに強化して行くことで、その彼はとても伸びるでしょうし、上司の自分にとっても、自分が持たない強みを持つ有難い部下となり想定していた領域ではないところで大活躍をきっといつかしてくれるでしょう。たぶん笑

 

言うは易しで、実際にはこのような関係が構築できず、かくいう私も何か気になることがあれば、「これくらい、やってくれよ」という気持ちがすぐに頭を擡(もた)げてきます。この話の元部下のケースは異動前の上司からの「彼はいいやつ」という言葉がなかったら、その良さに目を向けられなかったかもしれません。ということで、各方面からその人のよいところについての話を収集してみようと改めて思いました。坊主憎けりゃ袈裟まで憎いを逆に行きたいと思います笑