manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

経験のチカラ

みなさん、こんばんは。

 

今日は研修と経験について考えたいと思います。みなさんは「これはよかった!」という研修に出会ったことはありますか?

 

自分の知らない知識や情報を得たり、やってみようと思えるスキルが紹介されたり、同じ役職の人達が集まって、悩みを共有したりと効能はいろいろあると思います。私はベーシックなところで、オフ・ザ・ジョブのトレーニングは大切にしてきたと思います。大学受験で勉強は大嫌いになりましたが、会社に入ってからの研修はなぜか好きです笑

 

マニアと呼べるほどではありませんが、いろいろ体験しました。グロービスのようなケーススタディ型も好きですし、ワークショップを通じて自分を見つめなおすことも、実践的にスキルのトレーニングをすることも面白いですね。他の企業から課長クラスが集まって半年間、各界で活躍している著名人の話を聞いて、グループディスカッションするような体験も、異なる視点が大いに得られ、非常にためになりました。

 

そんな私ですが、過去、この研修はすごかった!と皆さんに共有したい研修があります。それは、シンガポール赴任の際に受講した東南アジア渡航研修です。

 

渡航前に実施するもので、渡航する社員は必須です。あなたが赴任後、現地のローカル社員から、こう見られています、こういうことに注意しないといけません。というような内容で、ローカル社員が一生懸命話しているビデオを眺めたり、渡航後にこういうことを注意しないといけないということを想像するものです。

 

これが、相当に退屈なものでした。受講者の中には、机に突っ伏して寝るような受講生もいましたし、私も寝そうになりました。渡航前の忙しい時に、こんなしょうもない研修をうけさせるんじゃぁねーよと、その時は心底そう思いました。

 

渡航後、半年から1年の間だったと思います。もう一回、実施するといいます。渡航前の退屈な経験が思い起こされます。おいおい、冗談じゃぁない。勘弁してください。渡航前は忙しいと思ってましたが、渡航後はもっと忙しい。人事は何を考えとんじゃぁー。

 

シンガポールに赴任していた日本人の人事部長になだめられ、仕方ねーと思いながら参加することにしました。

 

ところが、です。これが「すごくよかった」のです。その頃はまだ若く、いまほどKYではないので、赴任後、いろいろなことがうまくいかずに悩んでいました。特に、現地社員との関係性。私はマネージャーの役割でしたが、部下をうまく扱うことができず、辞めていく社員もポロポロいましたし、仲良くなれるとっかかりも見つからず、日本人社員同士でできる仕事に逃げていたところもあったと思います。

 

内容的には、渡航前に見たビデオや講義、ワークショップとほぼ同じだったと記憶しています。これが、実体験の後と前ではこんなにも違うのかというくらいに、いろいろ浸み込んできます。おおぅ、現地にスタフから同じことを言われたわ。現地社員に日本人と同じような規律や忠誠を求めた日本人赴任者が現地人からどのような扱いを受けていたのかの紹介はとても共感できるものでした。自分の日々の行動や発言を見直すとてもよい機会になりました。

 

ここでの学びは、実体験が学びの深さを生み出したことだと思います。どんなよい教材も研修もワークショップも単純にそれだけでは効果半減です。経験が悩みを産んで、解決したい意欲になり、そこに振り返りだったり、状況分析だったり、ツールを見せてくれると、何倍もの効果になるのでしょう。

 

また、自分だけが無能で壁にぶつかっていたわけではなく、みなさん同じようなことで苦戦している。日本人だけでなく、他の国の方も。言葉・文化の異なる場所で働くことはこんなにも難しいということが色鮮やかに体感でき、記憶の引き出しに収納できた経験でした。

 

さて、その後、めざましく現地に溶け込めたという美しい話があるわけではありませんでした(あるとよいのですが)。ですが、それなりの状況でも、「こんな状況でも、こんなもんだ」と思えるようになりました。きっと、赴任後、あれもこれもできるようになりたいと頑張っていたことが、そんなに簡単でもないし、焦ってもできないことが、肌感覚で理解できたのでしょう。この「よほど頑張っても、この程度」という感覚は、この後の会社生活でも役に立つのですが、それはまたの機会に。