manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

社会関係資本とその増やし方

みなさん、こんにちは。

 

これまで所属していた部門から違う部門に異動した際に「あれ、これまでと同じように力を発揮できない」と思われたことが、誰しもあるのではないでしょうか。聞きなれない言葉だと思いますが、これは前の部署では「社会関係資本」が一定程度あったわけですが、新しい部門ではほぼ無い状態で仕事をしているからです。

 

「日本の人事部(https://jinjibu.jp/keyword/detl/1554/)」では次のように表現されています。「社会関係資本」とは、人と人の関係性を資本として捉える考え方で、個人間のつながりを持つことで社会の効率性を高めることができる「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織を表しています。

 

京セラを起業し、名経営者として知られる稲盛さんも例外ではないと思います。ある日、突然、JALの社長になったわけですが、JALでの社会関係資本はほぼゼロから始まります。社長とはいえ、とても仕事をしにくい状態です。ですので、缶ビールを片手にコンパと言ってもみなさん本当に思っていることは口にはしません。ですが、これを継続し、「みんな、思ってることを言おうよ」と働きかけていく中で、少しずつ心を開き、言っても大丈夫だ(むしろ、喜んでくれる)と言うことがわかり、徐々に人心を掴んでいきます。この働きかけは上手・下手が出るところだと私は思います。

 

部長以上でマネジメントをしていく上で、いわゆる仕事ができる、仕事をこなす能力が高いことよりも、この社会関係資本を構築していく力の方が大切になります。できる課長、特にプレイングマネージャーは仕事をこなすのが上手です。美しい提案書や論理的に整った報告書を作り、見事に受注をしたり、難しいプロジェクトを推進したりと大活躍します。ですが、部長になった途端、急に範囲が広がり、よくわからない分野を見なければならない。そうした際に、できる課長は仕事の中身を理解しようとします。わからないことが次のわからないことを生み出し、右に進んでよいのか、左に進んでよいのか判断できないとなってしまいます。どんどん沼にハマっていきます。

 

ですが、できる部長は部下の人となりをよく観察します。何が得意なのか、どういう思考をするのか、どういうことにモチベーションを感じるのかを掴もうとします。これは1人ひとりとじっくりコミュニケーションするしかありません。ですが、正面から質問をしても答えてくれるわけもなく、日々の仕事での交流を通じてこれらを掴んでいくわけです。正直なところ、部長ともなれば、重大案件でなければ、仕事の一つひとつのアウトプットが論理的に正しいか、うまくいきそうかどうかはそれほど気にしなくてもよいでしょう。それよりも、個々人が成長できるか、モチベーションが高まる方に判断する方が、長期的にはよい方向に人は育ちますし、その結果をじっくり観察することで自分の決断を振り返ることもできるでしょう。結果、部下の方も、この上司は自分のことをよく考えてくれる人なんだと信頼関係も築けていけます。社会関係資本が増えるわけです。

 

と言うところで、4月に我が社で部長になったみなさんに「とにかく周囲とよく会話をするように」と伝えたわけですが、先日、本ブログに書かせていただいた通り、仕事のできる課長ほど、一生懸命仕事をしていた結果なわけです。他の部長と差が出てしまって初めて気付くわけですから、差がついていますよ、と伝えていくことが次のステップですかね。部長は一日にしてならず、と言うことでしょうか。