manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

事業と機能分担

みなさん、こんにちは。

 

グループ経営の中で、親会社の特定の機能を担う際に「機能分担」という言葉を使っています。機能分担という言葉にあまり馴染みが無い方もいらっしゃるかもしれませんが、他の企業の方にも似たような話を聞いたことがありますので、それなりに確立した考え方なのでしょう。

 

さて、我が社に目を移しますと、この機能分担的な会社と独立して外部向けに事業を営んできた会社が合併した経緯があります。外から見てみますと、「ふーん、そうなんだ」くらいの感想となるかもしれませんが、中から眺めると様子が劇的に違います。

 

例えば、親会社からある見積もりを頼まれた。作成した提出したら、他の会社も相見積もりを出していて、価格と機能で負けたので失注しましたと。いやいや、競争相手がいること知ってたの?どんな価格か聞けてないの?どこに差があって、それを埋めようとしたの?という質問に対して、全てNOの回答です。

 

これが正に機能分担的な考え方でして、親会社からこれくらいのコストでやってくれれば、これくらいの利益を確保できるよね、という前提で仕事の依頼が来ます。当然ながら、昔は優先権といいますか既得権益のようなものがあり、受注に至り、守っていただくことが多かったわけであります。ですが、皆さんもご案内の通り、時代は大きくかわりまして、そんな会社には何の価値もありません。自分たちの強みを推し出し、コスト競争力もあり、受注後のサービス向上にも工夫して当たり前なわけですので、そんなに口を開けていて見積もりを交換するだけでは受注なんてできるわけがありません。受注しても、オーナーシップは自分たちにはありません。コントロールはすべて分担を任せた側にあるわけですので。

 

一方で、事業に軸足があれば、上記のようなことは起きません。頻度よく、見積もりの依頼元にアクセスし、ご要望を伺うとともに、競合の有無はもちろん、優位に運べるような工夫をコミュニケーション上で図れるはずです。受注後も、運用での工夫によって、利益をねん出しようと努力をします。自分たちの事業ですので、オーナーシップは当然あるわけです。

 

というようなことをツラツラと考えていきますと、上記の考え方には大きな乖離があります。機能分担的に過ごしてきた場合、間に挟まるのはいわゆる調整役です。社内とお客様の間で調整が上手な方が優れた営業となります。一方で、事業の場合は真の意味での営業となります。当社のバリューとお客様の要望の中で折り合えるところを見出し、時には交渉、場合によっては撤退の判断もします。自分たちが納得いかなければ、受注もしません。

 

機能分担的な役割を担ってきた人たちが事業に向き合えるようになれるかどうか。当然ながら、これまでの考え方を改め「頭を作り替える」必要があります。これには劇的な外部環境の変化が必要となります。周りにいる多数のメンバーは分担ですごしてきたわけですから、ビジネスリーダーの負担も半端ない。ということで、リーダーだけにプレッシャーをかけるのではなく、むしろ彼を支え、集団に対して少しずつ働きかけるアプローチが正解なのかもしれません。