manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

リーダーと中間管理職

みなさん、こんにちは。

 

今、私が在籍している会社は従業員が1,500名規模の企業で中小企業です。いやいや、人数多いですよね、という声も聞こえてきますが、出向元は従業員2万人。グループで言えば10万人を越える大企業です。これらと比べて規模の面では中小企業とご理解ください。

 

親会社から出向してきた幹部の何名かがうまく行か無かったことに加え、1年前に昇格した部長の1人があまりうまくいっていません。折角ですので、少し振り返ってみたいと思い、少し考えてみました。少し前の話になるのですが、役員の1人が社長のある行動に烈火の如く怒っています。どうしたのですか?と伺ってみると、社長が自分の配下の組織の部長や課長に直接指示を出して怒っている。これはあまりにもおかしいのではないか、ということです。聞いたタイミングでは「そうなんですね」とスルーしてしまったわけですが、今になって思い返してみると色々味わい深いヒントがあります。

 

大企業は数万人で構成されていますので、いわゆる官僚機構に近い形で運営されています。部下は上司に報告し、上司はその上司に報告していきます。こうして、社長のところに報告が上がってくるわけですが、多くの場合は報告者は常務や専務などの役員だったりします。かなり前のことですが、役職の低い時代に社長に報告の場を持たせてもらったのですが、他部門の役員から「それはおかしい」とご指導をいただいたこともありました。

 

話を戻して、このような官僚機構には必ず中間管理職が必要となります。部下の活動を取りまとめ、上司に報告する役割です。上司の指示を部下に伝える役割もあります。自分が何か活動する、と言うことは仕事ではなく、部下の活動報告を受け、「それでよい」「ここはこうだ」「あの人にも話を聞け」とちょっとしたアドバイスをしておけば部下に対しては役割を果たしている。上司に対しては、自分たちがいかに頑張っているかを表現し、上司の指示をうやうやしく受け止め配下のスタフにこの指示を背負わせる。まさに中間に入ってしまっているわけです。

 

冒頭の社長の話はこうした中間の価値を無視した行為になります。上記のような中間にいて管理をすることが自分の仕事だと思っているとすれば、自分のバリューを否定されているように感じるかもしれません。部下が直接、自分の上司とやりとりを始めれば、そこには自分のバリューを挟む余地はありません。部下にありがたい言葉を伝達する機会もありませんし、部下の活動を自分が報告する機会も奪われてしまっています。

 

世の中間管理職が全て上記のようであると言っている訳ではなく、中間に入ることで、適切なアドバイスを与えたり、部下の活動をスムーズにするような調整を他部門としてくれているような上司もいるでしょう。ですが、これらはあくまで大企業に存在する役割です。中小企業はそんな中間管理職を置いている余裕はありません。このような人が数人いれば費用が掛かるだけならまだしも、正しい情報が入ってこない、指揮命令の伝達が遅くなる等々、全くよいことはありません。

 

中小企業の中間管理職はいわゆる大企業の中間管理職とは異なり、ビジネスを率いていくリーダーである必要があります。リーダーの振る舞いは部下を鼓舞したり、モチベーションを上げたり、数字に対する責任感を高めたり、自らお客様の前に立ち課題を克服するような姿を示す必要があります。ですが、これらは大企業では通常であれば部下の仕事です。モチベーションは自ら高めて会社に出社する、数字の責任は自分で負う、お客様に面し、課題は自分でなんとかする。そうして、どうにもならなくなった際にのみ上司が出てくるわけですが、多くの場合は手遅れだったりします。このような事が某社の品質問題だったり、システム障害だったりを生み出すわけですが、これまた大企業で長らく過ごしている方々にはピンとこないような話だったりするわけなので、問題が更に複雑になるのでしょう。