manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

能力と仕事

みなさん、こんにちは。

 

高校の時の記憶ですが、とても印象的に残っていることがあります。大学受験が終わり、幸いにもいくつかの大学に受かり、どこに行こうかと悩んでいた際に、高校の先生からアドバイスをいただきました。大阪の国立大学や東京の私立大学に行くよりも、大阪の中堅私立大学に行く方が私のためになる。なので、そちらを選ぶべきだ、と言うことです。他の方のアドバイスとは切り口も内容も大きく異なるのでよく覚えています。

 

主旨としては、東京のトップクラスの大学に行き、その他多勢に埋もれてしまうよりも、大阪の中堅私立で学んだ方が、トップ層でいれる。そうなると、教授陣にも目をかけてもらい、よりよい進路を歩めるというものです。自分の能力が大学の上位になるように調整すべき。なるほど。今となっては確かにそう言う面もあるかなとも思いますが、当時は「何言ってるんだ、この人は」と全くスルーしてしまいました。

 

さて、先日、ある役員にフィードバックしている際の出来事です。こんなことをやった、あんなことをやったと主張するのですが、基本的には部下の仕事だったり、役員にしては小さな仕事で、組織の成長であったり、組織間を調整して、組織能力を開発し、新たな機能が身についたようなことはありません。ですが、自分としては一生懸命頑張った、と言うことです。確かにその方の目線ではそうなのでしょう。机にしがみついて一生懸命に勉強をし、資料を作っているわけですが、それで組織・会社に何か影響を及ぼすことができたのかといえば、そうではありません。

 

今の会社を観察・分析し、よりよくなるためにはどのようなことが必要なのかを考え、そこに向けて仮説を立て、プロジェクトを興して、それを推進し、自分がいなくなったとしてもその活動が会社に引き継がれていく。ついでに言うと、コストダウンや売り上げ増が幾らです、と成果がデジタルに表現できると最高ですね。

 

話を戻して、上記のようなことを役員とはいえ、ひとりの人間がイニシエイトしていくのは並の能力では難しいでしょう。しかも、1年という期間である程度の成果を残さないといけません。となると、それなりの能力が求められるわけです。会社機構に関する知識や人と組織に対する影響力の発揮の仕方、リーダーシップ、プレゼンテーションの能力も必要でしょう。

 

ですが、一般的に、漫然と社会人生活を送ってきた方がこれらの能力を身につけているかといえば、そうではないでしょう。ある日突然、明日から役員ね、と言われ、頑張りますと引き受けるまでは幸せではありますが、役員になった次の日から、さて、自分の仕事は何か?どうやったらできるのかを考えなければなりません。経営企画部門で過ごしていれば、何をすべきか、と言う理屈上取り組むべきポイントは当たりがつくと思います。ですが、それを実行に結びつけるにはとてもハードルが高い。周囲の能力や課題感の共通理解などは何も揃っていません。

 

と言うことで、ある意味では急激にレベルの違う仕事をしないといけない。もしかすると多くの役員の皆さんはこれまでの延長線上に自分の仕事を見ているのかもしれません。だとすると、いわゆる、能力と仕事があっていない状態です。ピーターの法則という、自分がその役職で無能レベルに達するまで出世する、と言う法則がありますが、自分が無能になっていると気づくことができなければ、そこから脱することはできません。と言うことを考えると、自分の仕事ぶりが役員に適しているのかどうかをまずはしっかりと考えるところから始めないといけないのかもしれませんね。