manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

質問と内省

みなさん、こんにちは。

 

昇格面談を予定しているメンバーと対話を重ねながら、ご自身を振り返る機会を設けています。ご自身が大切にしていることは何なのか?組織に対してどんな感情を持っているのか?この会社をどうしたいのか?そのために自分のできることは何なのか?自分のどんな強みを活かせばよいのか?自分の内面に目を向けて、言葉を紡いでもらう形で進めます。

 

最初の方は、格好のよいこと、世の中で一般的にこうあるべきと言うようなことを話すわけですが、このような内省の機会でそのようなことを聞いても意味がありません。とはいえ、なかなか言語化できない。あなたの言いたいことは、こう言うことでは?と、言いたくなる気持ちをグッと堪えて、プレッシャーにならない程度に黙って聴くに徹して時間を過ごします。

 

さて、今でこそ、このような形で対話ができるようになったわけですが、この会社に移ってきた当初から全てがうまくいったわけではありませんでした。冗談半分で、「相当警戒していたよね」だとか「嫌だったんじゃないの」と会話するのですが、本当に嫌だったし、警戒していたと思います。親会社とはいえ、初めましての上司、人となりも実力もわからない人から、1on1をしましょう、よいところを言語化するお手伝いをしますよ。と、言ったところで、信用してくれる訳がありません。信用してくれるとしたら、よほどのお人好しか奇跡かのどちらかですね。

 

始めた当初は、当然ながら、心にあることを口にする、言葉にすることに躊躇があります。どうしてこんなことを言わないといけないのか。正直に言ったら怒られるんじゃないか。そもそも人として信用されていないところで、内省もコーチングも何も成立しません。とはいえ、対話の機会を設けなければ、どのような考えで課題に取り組んでいるのか、感情を生み出す背景にあることにも気づけません。上手く行かなくとも、繰り返し会話をしてくなかでわかってくることも当然あります。大切な機会です。

 

ただ、漫然と会話をしている中では、「次回も話そう」「この人に内面を語ってもよい」とは思ってもらえません。ちょっとした褒め言葉や言葉にできていない気持ちや考えをお手伝いしていくことで、相手の考えが整理されて、この人と話してよかった。場合によっては頭がスッキリした、もっと過信して言うと、頭が良くなった/新たな知識や考え方が身についたと感じさせるような会話で終わるような機会とするような頑張りが必要です。チャンスはそんなに多くはなくて、最初の一回目ははじめましてで済みますが、2回目、遅くとも3回目には、そのような会話ができるように頑張らないといけません。これはこれで集中して、本気で取り組まないと部下が満足してくれるような1on1になりません。

 

上司が部下のためにこのような工夫をするのは、これまでの上司部下の関係の常識からすれば、少し妙に感じる方がいらっしゃるかもしれません。ですが、私はこの3年あまりの経験の中で、ふんぞり返って部下の報告を聞いて、あーでもない、こーでもないとコメントするよりは100倍役に立つことだと実感しています。ご本人が大したことがないと感じていることに光を当てて、それは他の方にはなかなか難しいことなのだと伝えたり、頭の中でうまく整理できていないことを一緒に悩みながら言葉にする。こうした、一見、意味が無いようにも思える部下のための支援が信頼を構築していくためには大切です。仕事を中心に人を見ている場合には、どうして言うことを聞かせてやろうかと思うわけですが、人を中心に会社を見た際には、こうした信頼関係の構築が一丁目一番地であり、部下の信頼獲得にはこうした対話が重要です。とはいえ、まだまだ仕事が会社の中心にあることも事実で、こうしたことの大切さを感じていない方がまだまだ多いのかもしれませんね。