manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

これでよいという安心

みなさん、こんにちは。

 

以前、経営企画部門で全社の機構改革プロジェクトに関わっていた際の話です。これまでの「当たり前」から大きく変わることがあり、案の定、現場から不満の声が上がってきます。その声が役員を伝達し、社長に伝わっていったわけですが、その声に対し、経営企画部門としてヒアリングを行い、まとめた上で社長に報告することになりました。

 

報告内容を一通り聞いた社長は「まぁ、こういうことをすれば、こう言う声が出るよね。出ない方がおかしい。仕方ない。」というようなことをコメントをしてくれました。私はプロジェクトメンバーの一員だったのですが、プロジェクトリーダーの上司も経営企画部門の部長もその言葉を聞いて、「そうなんだ、これでいいんだ」と安心してしまったわけであります。私もその流れの中で心の底から安心してしまい、プロジェクトとしてもその現場の声に対し、何か策を講じることもなく、「仕方ない」ものとして扱ってしまいました。今となっては、これはちょっとイマイチな対応だったなぁと振り返っています。

 

この手の全社の機構改革はコーポレートの理屈が主導して進められるため、どうしても現場の理論からは相容れない現象が起きてしまいます。一方で、現場で不満と言うことは、何らかの課題が起こっているわけでして、この課題に対して、「誰がどう立ち向かうのか」をはっきりさせる必要があります。コーポレートとしてできることは正直なところあまりないでしょう。ただ、現場の課題を解くべきリーダーがいるはずで、コーポレートとしてはそのリーダーに「あなたの裁量と判断で対応しましょう」と働きかける必要があったのだと思います。放置は会社としては悪手で、現場軽視、顧客軽視の姿勢と映ってしまう恐れが大きいです。

 

冒頭の社長のコメントに立ち戻ると、社長は本心から大した課題ではないと感じたのだと思います。全社の経営課題と言うほどの大きな問題ではありませんし、社長が対応するほどのことではありません。ですが、これを「仕方ない」と周囲にコメントしてしまうのは、少し守備範囲が狭かったのかもしれません。「全社としての経営課題というほどではないが、この手の不満や課題が対処するされないままでいるのはよくない。対策するように。」と指示をすることが次のアクションにつながったのではないかと思います。もう少し言うと、「経営企画が対処するのではなく、現場の責任者に対処するように指示するように」とすれば更によいですね。

 

社長は影響力が大きくて、社長が「問題ない」としてしまうと、周囲はそこで「問題ないんだ」と安心してしまいます。お膝元のスタフともなれば、その傾向は強くなります。たとえ会社中の全員がNOと言っていたとしても、社長さえYESと言っていれば、経営企画部門の職責は果たせてしまっているように感じてしまうでしょう。本質的にはこれでは少しまずいのですが、サラリーマンな経営企画部員であればやむなしでしょう。ですが、もう一歩広く課題対応を考えるべきところを思考停止しないようにするためにも、「これでよい」という安心を敢えて伝えないようなコミュニケーションが必要となるのかもしれません。