manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

反射と内省

みなさん、こんにちは。

 

昇格面談のシーズンです。候補者のみなさんは事前準備した内容でプレゼンテーションし、そのお題に対し質疑応答することで合否を決めていくわけですが、面接官としては「正解のない問いにどう向かっているのか」を観させてもらうようにしています。敢えて、悩ましい問いを立て、自分なりにどのような意見を持ってその問いに向かっていくのかを答えてもらいます。

 

実は、常日頃、その物事について考えているかどうかは一目瞭然でして、実際にそのお題に取り組んでいれば、その場面場面でどのように判断しているかが回答されてきまして、非常に納得性も高く、言葉に力もあります。一方で、机上論の場合は、そもそもその物事について深く考えていないので、質問されてしまうと困ってしまいます。よくて一般論の回答で、多くの場合は質問に答えず、こういう可能性もあるし、ああいう可能性もあると誤魔化しているような状態となります。

 

プレゼンテーションした内容について、どこまで深く考え、真剣にそれを実現しようとしているのかは、会話を重ねて行けば割と簡単にわかります。昇格面談用にだけ考えてきたアイデアは表面的であり、実現に向けた真剣さが表現されません。ですので、質問に対して深く向き合うことも難しく結果、反射的な質疑応答となってしまいます。当然ながら、事前の練習で対応策を考えることは可能ではありますが、それも対して深まることはありません。よほど脳内のシミュレーション力が高ければできるのかもしれませんが、流石にそれは難しいでしょう。

 

一方で、常日毎悩み考えている事象についてであれば、そもそも面接用の問いなんて軽く思えるくらい、日々、色々な事象があり、それに対応する中で、自分なりの経験値であったり、物事を前に進めるための技があったりするわけであります。質問に対し、少し思索を巡らせれば、自分の軸に照らし合わせた上で、適切な答えを返すことが可能です。

 

加えて言えば、問題解決に向けて、どのような範囲で物事を考え、会社視点で最適な解き方を考えるのか、それとも自部門だけの世界で考えているのかも質問への答えを聞いていればよくわかります。当然ながら、全体最適に向かえば向かうほど解き方が難しくなる一方で、答えが理屈の上では正しいことを言っているような方も多くいます。

 

確かに概念的に上位になればなるほど、論理的にキレイな答えを返すことで正しい答えを返しているつもりになれるようにも思います。一方で、キレイであればあるほど、実は実行がすごく難しく、全社レベルになれば関わる部門も多く、その中で誰かの思い通りに動かせるとすれば、それは奇跡に近いような話です。ですが、多くの場合、そのように語ることで「自分はわかっている」と表現してしまっている方もいたりします。

 

さて、話を戻しますと、実行に向けて真剣に悩めば悩むほど、実は頑張らないといけない範囲は多くなり、そうなればなるほど、自信を持って「これが正解!」とは言えなくなってしまいます。ですが、実現に向けた工夫のレベル、作戦のうまさ、リアルなシミュレーションなどは、面接の中でも答えを示すことが可能だと思います。逆に言えば、矛盾していても、情熱があれば突破できる可能性もあります。もう少し踏み込んで言えば、他者を巻き込む「よい言葉」を使えるかどうかも、面接の中で表現することができるようにも思います。たかが面談と思っていましたが、されど面談でたかが数十分の会話を通じて、見えてくることは実はとても多くありますね。