manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

戦略と実行

みなさん、こんにちは。

 

昔から長らく企画部門にいたこともありまして、戦略的なことを検討する活動に参加することが多くありました。外部のコンサルティングファームの方にもご協力をいただき、外部環境の分析から自社の強みを特定し、さらに強化されていった先にある競争優位の確立に思いを巡らせていく活動です。人によって好みがあると思いますが、この手のことを考えることは純粋に面白く、検討することにどんどんのめり込んでいくことも多くありました。また、完成もありませんので、どんどん時間をかけて、作品を作り上げていきます。

 

一方で、そうして作り上げた作品を幹部にプレゼンテーションし、「おぉー、いいね。ぜひ進めよう」となることは実はそう多くはないと思います。作り上げた作品は企画に過ぎませんので、いわゆる虚構です。虚構であるが故に、ケチの付け所はいくらでもありまして、ケチをつけることが自分が優秀であることの証でもあるかの如く、こう言う場合はどうなんだ、あれがこうなった場合はどう対処するのか。リスクはなんだと、どんどん深みにハマっていってしまいます。何も実行していないのに…。

 

そして、その指摘を真に受けたメンバーがさらに検討を重ね、さらに隙のない戦略が練り上がったとしましょう。そうすると、それは多くの場合、実行の難しさが半端ないような戦略となってしまっています。そんなに簡単にできるようなことであればみんなやっていますし、逆に難しい戦略を取っていないには理由があります。できる人が誰もいないからです。

 

さて、そうしているうちに、競合となる会社は簡単ながらも差別化できるうち手を重ねていきます。動きで出遅れた結果、負けているのは素晴らしい戦略を持っている方となってしまいます。さて、少し極端に書きましたが、多くの企業で似たようなことが起こっているのではないかとも思います。多くのの会社はコロナ禍で変質したオフィス環境のデジタルシフトに対して、どのように立ち向かっていくのかを恐らく凄まじいお金と労力をかけて検討してきたのではないかと思います。そして、なんらかこれは良さそうな戦略を作っては実行できずにいるようなことを繰り返してきたのではないかと想像します。

 

これはそういう会社の皆さんが劣っているとか、頭が悪いとか、そう言うレベルの問題ではないと私は思います。むしろ、このようなことが起るのは機構の問題で、起こるべくして起こっているのではないでしょうか。そう、優れた戦略には実行力が必要で、一方で、実行力は優れた戦略からは育ちにくい。そして、実行力の高い会社が後追いで強みを獲得し、結果どんどん強くなっていく。こういう環境の市場で戦っていることを我々は改めて認識すべきだと感じました。