manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

最初の一歩の難しさ

みなさん、こんにちは。

 

ある日、突然、組織の長だったり、プロジェクトのリーダーに任命されたとして、みなさんはその当日にどんな風に振る舞うでしょうか。朝、会社に行って、いつもと同じように挨拶するかもしれません。もしかすると特別な日だとして、組織やプロジェクトのメンバーを集めて、自分の思いを話そうとするかもしれませんね。今時では、テレワークなので、昨日と同じようにテレワークをしているかもしれません。

 

リーダーとなる最初の一日をどう過ごすのかは、実はとても大切なイベントです。本人側からすれば、何の具体的な変化もないように感じるかもしれませんが、周囲の立場に立つと実は大きく異なります。メンバーからすると、今日はじめてリーダーとなった方がどのように過ごしているのかはすごく興味深いことです。そのリーダーが自分達に対して「何も言わない」ということは、実は多くのメッセージを運んでしまいます。「もしかすると、自分たちに興味はないのではないか」もしかすると「冷たい人だ」であったり、「この組織やプロジェクトの長になることが嫌だったのではないか」など、不審・不安を感じることもあるでしょう。

 

いわゆる「意図せざるメッセージ」を与えないためにも、「自分はこういう人で、こういうことを大切に考えて、組織を運営していきたい」ということを着任の当日に伝えるべきだと私は思います。

 

ですが、一方で、そういうことをしにくい状況もあったりします。昔から同じ組織にいて、上位に昇進した場合であれば、周囲のメンバーに声をかけて、人を集めることができます。違う部門から異動することになった場合には、その場の設定そのもののハードルが上がります。その場に誰もきてくれないのでは、という不安もありますね。また、前任者からの引き継ぎも当然不十分でしょうし、そんな中途半端な状態の中で、誤ったメッセージ発信をしてしまった際には、そこから取り戻すことに不安を感じるかもしれません。そう、やらない理由はすごくたくさん出てきます。

 

もう少しついでに言うと、大きな企業であれば、いわゆるそのようなことの段取りをしてくれるサポート・スタッフがいます。その人たちの気が利く場合は挨拶の場の設定もしれくれることがあるかもしれませんが、多くの場合、そのような方々は受け身型の行動様式です。指示がない中で、設定されることはありません。また、外様であれば、歓迎のムード、というよりは、むしろ「お手並み拝見」でしょう。

 

つらつらと書き連ねてきましたが、何を言いたかったのかと言えば、この手のことは「気持ち的にも」「環境的にも」やりにくいということをお話ししたかったわけです。なんというか、大成功!というような終わり方は、ある意味ではありません。リーダー側が思い切って、感情を込めて話をしたところで、「ウォー!」という反応はまずないでしょう。「シーン」となり、パラパラとした拍手でも起これば、それは間違いなく成功です。

 

さて、本人が成功の実感を得られないとしても、メンバーに向けてはこのような場を持ち、自分のことを伝えることには大きな意味があります。ですが、これまで書いてきたように、難しいわりに成功実感を得られない、そんな仕事です。これまでの「仕事」は、上司に褒められたり、受注が決まったりとうまくいくと、何らかの反応が得られ、その手応えを元にして、さらに頑張っていくような仕事です。ですが、リーダーは部下・メンバーを向いて働きかけていく際にはそのような明確な何かがあるわけではありません。その最初の日の出来事が、正に象徴的であり、特有の難しさを感じる出来事になるでしょう。

 

通常であれば、「それでいいんだよ」と、誰かが言ってくれるわけでもありませんが、その組織の長の上司に当たる人は、どんなにしょっぱい感じの場であったとしても、褒めてあげてほしいなぁと思った次第です。が、その方も聴衆の1人として聞いていることが多くて、聴衆としての感想を伝えてしまい、そのリーダーの気持ちを挫いてしまうようなことがあるのかもしれません。このようなことも含めて、リーダーはやはり最初の一歩から難しいですね。