manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

向こう側からこちら側へ

みなさん、こんにちは。

 

過去に経営企画部門で社長をサポートしていた際の出来事です。製品部門を統括する常務取締役から社長に対して、どうしてもこの技術を使った製品化に投資をしたいという旨の嘆願があり、それに対して社長が言葉を発しました。「あなたはいつまでそちら側にいるつもりなのか」と。

 

技術者からすれば、自らが開発した技術が製品化され、その製品によって世界を変えることができるなら、それはこれ以上ない喜びですね。その製品部門を統括する常務取締役ならば、それを後押ししたい気持ちがあるのは、さもありなんと言うところでしょう。案の定、社長のコメントに対して、ハテナ?な反応をしていたように記憶しています。

 

今の会社に目線を移しまして、予算進捗を確認する場での出来事です。部門長の皆さんは口を揃えて、難しいというご主張です。まぁ、実態としてそうなのかもしれませんが、例年そう言っていてできたりもしますし、出来なかったりもします。要するに、先を見通せてないので、管理部門からは見通して欲しいという声が上がります。それは部長の責任であろうと。予算編成・予算管理はとても奥深いものですので、そんなに白黒ハッキリつくようなものではありません。ですが、部門長としての責任を果たすべきだというのは、まぁ、わからなくもありません。ただ、当人の部長側を見てみると、自分はやるべきことをやっているし、言うべきことを言っているという態度です。冒頭の話も同様なのですが、このGAPはどこから来るのでしょうか。

 

これは各階層における「求められる役割」がきちんとセットされておらず、その役割を満たすための権限と能力を会社側としてきちんとセットしていない(セットしていても説明していない)が故に起こる事象だと思います。課長として、部長として、求められていることはこれだよ、権限はこれだよ、必要な能力はこれだよ、サポートする研修はこれだよ、ちゃんと受けてね、という枠組みがきちんとなされていないということです。

 

冒頭に取り上げたお話しはもうかれこれ15年以上も前の話ですので、牧歌的な出来事で済みますが笑、今時、これでは困ります。階層別研修できちんと動機付けや、ある意味では洗脳とも言えるような、会社側に立ったポジショニングを取らせるような意識改革や目線を指導していかなければ、いつまでたっても現場の親分感が抜けません。

 

部下を守ることはもちろん大切ですし、それは必要なことではありますが、管理職・部長・事業部長としては、部下の皆さんの意見代表ではありません。それは組合の委員長のお仕事です。管理職以上は会社側から送り込まれた事業拡大・収益拡大がミッションで、組織をそこに向かわせるように采配できるように権限が与えられています。ですので、冒頭の話も、この技術はすごいんだとか、夢がどうだとかは、現場側からみればとても大切なことである一方で、会社側からすれば、それは企業経営にどのような価値をもたらしてくれるのか、投資対効果はどうなのかの観点で語ってほしいと言うところなのでしょう。ですが、現場で長らく生きてきて、何の訓練も受けなければ、それはいつまでたっても現場の代表者になってしまうのはある意味では仕方がありません。なにを言いたいかというと、そういうことをしてこなかった会社側の問題で、少し時間をかけて解きにいかないとすぐには解けない奥深い問題だということです。私もこの立場になるまでは、露ともそのようなことは思っていませんでしたが、階層別研修ってとても大切な営みなのだと痛感しました。