manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

「まわす」ということ

みなさん、こんにちは。

 

結婚して、義理の父の会社に移った友人がいます。久しく会っていないのですが、過去に話したことが何故だかとても記憶に残っています。自社には優秀な人材が来ない、上場企業出身者を雇いたいが高い。そんな流れでの話です。「でも、大きな会社出身の人は『まわせない』んだよね」ということでした。いつものことではありますが、その話を聞いた当時は、部下もいませんし、私も大きな会社に勤めていたので、なんのこっちゃ?と思いながらも、「そういうもんなんだ、大変だねぇ」と返した記憶があります。

 

さて、今、私がいる会社は中小企業でして、今となっては、その彼の言っていたことが感覚的にも実によくわかります。そして、大企業の子会社の宿命なのですが、親会社からの出向者がそれなりのポジションでやってくるわけです。もちろん、中には優れたセンスの持ち主で、見事な適応を遂げる方もいれば、大企業と同じように、自分の守備範囲を厳密に定め、そこだけを頑張っているような人もいます。

 

物事を難しくしてしまうのは、やはり偉いポジションに降り立つ方が、大企業の構造を所与のものと信じたままにいるような状況です。このことが真理とは言いませんが、大企業は役割分担していることもあり、いわゆる役員と呼ばれる方々は奥の院からありがたい指令を出し、その司令に従ってお膝元のスタッフが頑張るという構造です。そして、役割分担がなされた領域では変化を遂げるわけですが、その結果、会社全体として、売り上げが大きく上がったり、利益が大きく増えたりとなることは極めて稀でしょう。ですが、とにかく、まわってはいます。

 

一方、中小企業はそんな高級な車ではありません。指示を出したところで、忙しくてスルーされるだけです。出された指示が実行されているのか、狙った目標に向けて、誰かが何かをしているのかを定期的に監督していく必要があります。残念ながら、定期的に部下から報告が上がってくるわけでもありません。任せて欲しい、と言われても、それを鵜呑みにするわけにはいきません。ですが、大企業の部門長クラスは報告が上がってくることが当たり前、上がってくる報告も正しいことが当たり前。座席に座っていれば、報告が上がってきて、その報告に対してYES・NOを伝え、感想を述べれば、仕事をした気分になれるという訳です。

 

中小企業は余裕のある組織ではありませんので、みなさんが色々なことを我慢しながら過ごしているわけですので、上位の方がふんぞり返っているだけで仕事をしている様子を好ましく見てくれるわけはありません。高い給料をもらっているのに、なんだあいつは、となり、報告しても、自分のビジネスセンスに合う意見が出てくるわけもなく、どんどんみなさんが遠ざかっていくわけです。そして、誰も報告にこない、回すこともできない、そんな状態になってしまいます。

 

そういう状況に陥らないためにも、最初のオリエンテーションできちんとそのことを告げて、適切な成長と仕事の進め方ができるように働きかけることが大切なのでしょう。とはいえ、それなりの大人の方が変容を遂げられるかというと、そう簡単に行くわけもなく、粘り強く立ち向かいながらも、ダメならどこかでダメだと判断することが必要なのかもしれません。