manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

会計と管理

みなさん、こんにちは。

 

この4月から新たな年度を迎える企業のみなさんにとっては、今年度の決算と来年度の予算編成も大詰めかと思います。今年度はコロナ禍で影響を受けた方も多いのではと思います。我々も少なからず影響を受けましたが、航空会社や外食などほど致命的ではなく、まぁ、総じて見ると大禍なく過ごせたというところでしょうか。

 

さて、予算編成と管理にまつわるところで、経理方面と現場との間で少し揉めることがありました。現場側からすれば、より管理が厳密に進む方向に変えていきたい意図です。この費用をこちらの勘定科目に移せないかと積極的に提案してくれます。一方で、経理はモジモジしています。現場側からすれば、会社をよくしようと提案しているのに、経理はなんの反応もない。こいつらやる気あるのか。というところでしょう。

 

一方、経理側からすると、話はそんなに簡単ではありません。いわゆる会計原則があります。費用収益対応の原則しかり、これは崩せないという考え方に基づき財務諸表はまとめられるべきですので、そんなに簡単に現場側の要請を受けて変更することはできません。こちらの世界にいる人たちからすれば、こんなことは常識です。言葉を選ばずに言えば、そんな常識も知らない人に説明しても、きっとわかってもらえない。管理したい要望が来るのは当然ながらある程度の上位の役職の偉い人からです。でも、その偉い人は会計の知識がそんなにあるわけではない。きっと説明してもわからない。結果、モジモジしてしまう。そんな流れです。

 

そういえば、大企業にいた際も似たような話がありました。売上を概算で計上する制度があり、ある条件を満たした際にはその方式が認められるという考え方でした。この方式は、比較的、売上と利益をコントロールし易い面がありまして、条件を満たさない取引に対しても適用したい、という要望がとある大幹部社員からありました。結果、その要求は経理側がはねつけたのですが、その幹部は当然ながら大激怒。これだから経理はだめなんだと、大暴れしていました。

 

私自身は当事者でなかったこともあり、冷ややかな目でそれを見て、幹部なのにこんなことも知らないのかと呆れていた記憶があります。今となっては、この姿勢はだめな姿勢なのですが、当時は若かったという事でご容赦願いたいと思います。技術畑や営業畑で登ってきた幹部社員にとっては会計原則なんて、もしかしたら聞いたことがないかもしれません。誰か近くにいる番頭社員が世話をしてくれたことがあるのかもしれません。

 

話を戻すと、現場側が要求しているのは管理、すなわち費用の回収意識を高めたい。そういう要望であれば、会計制度に関わることを変えるよりは、管理のあり方、現場に対する責任の与え方を変更する方向に舵を切らなければなりません。だとすると、経理がこの要望を受けている時点でそもそも筋が悪いですね。

 

もっと早くに私に相談してくれれば、論点を整理して、こちらの方向で検討しようと前捌きができたのですが、若干、遅きに失してしまった感があります。この手の整理は私の得意とするところなので、もっと早く相談して欲しかった。ですが、役員には上げにくかったのかもしれません。知識のある人と知恵のある人が集まって早々に解決の方向性を見出すべきなのに、それができなかった関係性の質が残念なところですね。特にこの手の専門家はコミュニケーションが苦手なことと、階級差に敏感なところもあり、難しいわけだったりするのですが。偉かろうが、偉くなかろうが、専門性のある人は素人にもわかるように原理原則を説明し、知恵のある人がそれはこういう方向で対処すべきだということをオープンに語り合える風土作りが足りて無かったわけであります。