manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

心の問題とリハビリテーション

みなさん、こんにちは。

 

本日は心のPMI(Post Merger Integration)について、考えてみたいと思います。作業の早い遅いはありますが、制度や組織などの枠組みとしてのPMIは、取り組めば取り組んだだけ、それなりに推進していきます。一方で、心の融合には難しさがまだまだ残っているように感ます。従業員や幹部の皆さんの心のありようは目に見えないので、捉えにくく、成果や進捗がわかりにくい。また、統合していなくても、目に見えて困ることはないのかもしれません。

 

少し目線を変えて考えると、大きな会社で複数の事業を抱える会社は特定の事業部の中では一体感があっても、その事業部を一歩でも出た瞬間にあいつらと自分たちは違うんだ、なんてことも起こっているでしょう。共通の価値観がセットされていないと、会社に所属している社員として、結びつきがうまく作れません。自分はそもそもそういう結びつきとは無縁だと思っている社員もいるでしょう。一人の社員としては、仕事をして、成果を出している限りは、それでも今日明日に困ることにはなりません。

 

ですが、総合的に組織を捉えた際には、足の引っ張り合いだったり、成果の独り占めが起こるようであれば、組織力を最大化するなんて全くの絵空事にもなります。また、出身組織を越えて協力しようだったり、今回は自分の成果にはならないが、会社のためには力を尽くす、という全体最適に向けた活動は形だけのものになってしまうでしょう。ということですので、心の面で何かの拠り所が必要となるわけです。その拠り所は誰か特定の人物でも良いかもしれませんし、お客様に向かう自分たちの姿勢であったり、事業目標やビジョン・バリューのようなものでも良いでしょう。

 

さて、ここでPMIに目を向けると、それまで個々の会社にあった拠り所が双方にとってどう映るかを考えなければなりません。例えば、片方の会社でカリスマ社員がいたとしても、もう一方からは「ふーん、そうかもしれないけど、自分たちにとっては威張ってるだけのように見える」という感じでしょうし、逆にもう片方の会社でお世話になってきたお客様に向かうサービス精神も逆側から見れば「自分たちの事業には関係ないから、なんか白ける」となるでしょう。

 

何を言いたいのかというと、会社が統合した瞬間に、これまでの拠り所が、新たに会社全体を束ねていくための拠り所としては機能しにくい。逆に、むしろ邪魔をする存在となってしまうということです。これは非常に難しい問題で、先のカリスマ社員からすると、意味がわからないというか、あいつらなんだ、となるでしょうし、自分たちが世話になったお客様に対するあの姿勢はなんだ、と相互への憎しみに転じていくことは想像に難くないでしょう。ですが、これを避けることは難しい。ここで正面から「お前ら変だ」と言い合って、青春ドラマのように殴り合って、握手して仲良くなるなんてことはなく、往々にして起こるのは相互への無視と無関心。自分たちには関係ないねと。

 

さて、この状態を会社が統合した翌日になんとかしよう。なんてことは、現実的には不可能でしょう。では、1年後にできるのか、2年後にできるのかというと、不可能ではありませんが、現実的には相当厳しいでしょう。比喩としては、切断して無くなった腕に新たに他人の腕をくっつけるようなもので、長い期間のリハビリを通じて、神経がつながって初めて一体的に動かせるようになる、そんな感じなのだと思います。

 

また、そんな時に活躍するのは、旧個社で活躍していた社員、というよりは、能力はあれど、光が当たっていなかった社員たちで、そのようなみなさんに気勢を発していただけるような機会を作り、旧来の拠り所にこだわっている自分たちはどうなんだろうか、と考えてもらうことが大切なのだと思います。ということで、ながーく向き合っていかないと、心の面での統合は実現できないということですね。