manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

職業経営者とその役割

みなさん、こんにちは。

 

もう5年くらい前のことでしょうか。大手企業の課長クラスが集まるビジネス塾に参加していた際に、職業経営者と呼ばれる方の話を伺いました。具体的な企業名は申し上げられませんが、状況的には、経営危機に陥っている企業に経営者として派遣された方がどのように奮闘していったのかのお話でした。臨場感があり、さらにその方が非常に理路整然と話をされる方で、大いに学んだことを思い返しました。

 

株主・ファンドから、立て直すように命を受け、経営トップとして、社内外のステイクホルダーと切った貼ったをタフな心で成し遂げた、という美談で、年末年始にふとこのことを思い出した訳であります。受講していた際は、単なる一人の課長として、羨望というか、まぁ、遠い世界の出来事ですねと、思いながら聞いていたわけです。いつもこんな感じで、すいません。

 

さて、今では私も取締役の一人で、株主から派遣されて、会社の経営責任の一旦を担っているわけでして、シチュエーションとしては割と近いはずです。ですが、大切なステイクホルダーの株主との対話は結構少ない。一方、生え抜きの幹部社員や従業員との対話は多い。取締役の間の会話はそれなり。ちょっと、偏りがありますね笑

 

先の職業経営者の方は、債務の整理や課題事業の売却などの外科手術的なお話が多く、その際、その企業に求められていた施策を優先順位をつけて、社内のリソースを活用し、プロジェクト的に実行しつつ、一方で、従業員との対話を通じて、会社の向かう方向性を社員に示していったということでした。書く分には軽く書けるわけですが、これらのことに対して、リーダーシップを発揮してやり切ったことは、同じ目線で見ると「凄まじい」の一言しかありません。かなり、しんどかったことでしょう。

 

そして、債務や課題事業の整理がついたタイミングで、その会社を去っていったということでした。危機を脱した後には、コア事業を成長軌道に載せて拡大していくことが必要なので、そうした際には、異なる経験を持った経営者、おそらく生え抜き社員から選ばれたことでしょう。確か、JALなんかもそんな感じだったように記憶しています。

 

株主やファンドから派遣されているわけですので、成果と報酬が約束されていたのかもしれません。逆にいうと、我々の場合は報酬も派遣されている役割も不明瞭だったりします。「どちらがよいか」の比較論ではなく、果たすべき成果が規定されているのはいかにもプロらしいと思いつつ、逆に成果から「何を成すべきか」はセットしやすいかもしれません。なんとなくですが、プロジェクト群を順番にこなしていく、その進捗を確認していく、数年をそんなふうに過ごすことはもしかしたら、私にもできるような気もします。(気のせい、過信かもしれませんが笑)

 

ただ、一方で、その職業経営者が会社を離れた際に、従業員は「あぁ、やっぱり彼は一時しのぎの腰掛けだったんだな」と思ったのかもしれません。逆にいうと、次の社長への期待が高まるでしょうから、バトンの渡し方としてはよかったのかもしれませんが、プロとはいえ経営者としては、従業員やプロパー幹部との関わりとしては少し寂しいようにも感じます。

 

職業であろうが、親会社からの派遣であろうが、生え抜きであろうが、経営者という意味では同じ経営者です。これまで培ってきた経験と得意技、加えて、パーソナリティ(人間性)でその任を果たし、経営者としての役割を果たすことについてはみなさん同じでしょう。その観点で、私自身は果たしてどうなのか、この年末年始で少し振り返ってみたいと思います。満点ではありませんので、まだまだ、頑張る余地は多いですね。