manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

閉じた世界と独自の進化

みなさん、こんにちは。

 

少し前のことですが、大学時代に合気道を教わっていた師範がこんな話をしました。「君たちは卒業で4年ごとに入れ替わっていくけど、オレはずーっと道場で生徒に合気道を教えているんダァ」と。酔っ払っていたので、あまり深い意味はなかったのだと思います。ただ、お酒の席ですが、珍しく記憶に残った一言でした。

 

次に、少し時が経ち、ある人事部の方と話していた際の一幕です。「外資系企業は本社から与えられた枠組みで人事を運営しているだけなので、制度と仕組みをゼロから考えて運営している自分たちの方が凄いんだ」というような類のお話をしていました。それを聞いて、「ふーん、そういう風に思っているんだ。確かにそういう考え方もあるかもなぁ。」と思った記憶があります。

 

さらに少し時間が経って、外資系から人事部に移って来た方がこう話していました。「確かに、当社グループの人事は一時は時代の最先端を走っていたのだと思うが、何十年も経って、独自の進化を遂げてしまい、世間の人事から比べて役に立たない存在になってしまった」と。そういえば、昔酒の席で、人事の若い子が先輩に質問していました。「やっぱり、労政やってないと、人事じゃ偉くなれないんですか」と。

 

この3つの話から思うことがあります。合気道の師範はその道を極めているので、まぁ、そういうことであってもよかろうと思い、最初に話をあげました。ただ、あのセリフを語った時は、とても寂しそうな感じで、この道を貫くことを決めたものの、寂しいなぁという感じでした。生き物としても、かなり独自性が高いですね。憧れはしませんが笑

 

人事の話はとても興味深くて、そうなろうとして、そうなったのでは無いと思います。ただ、ひたすらに自分たちは役に立とうと、学び、頑張ってきた結果だとも思います。ではなぜ、そうなってしまったのか。

 

このベンチャーと伝統的な大手製造業の子会社が混ざり合った変な会社に来て思うこととしては、「閉じた世界」で長年育まれてきたからではないかと思いました。価値観が定まり、揺さぶられず、仮に外から入ってきても、少数派。弾き出されて終わります。

 

一方で外の世界では、内部の理屈とは関係のないところで、市場原理で役に立たなければ、価値を認められません。「いやぁ、私の仕事の範囲はここまでなんです」なんて、冗談言ってんじゃないよって、ことになるでしょう。「役員はどう考えているのだろうか」などど思索を巡らす必要なんかありません。事業の役に立ってなんぼですから。考えて仮説をたててやってみて、失敗すれば、次は軌道修正して、自分の実力を高めていくしか生きていく道はありません。

 

内部の力学や理論が優先される世界は確かに守られているかもしれません。ただ、ひょんなことで、その世界がもしかすると崩壊するかもしれません。そうなった際に、自分の足で立ち、市場に対して価値のある存在でいられるかどうかがこの話題の真の命題ですね。

 

さて、合気道の師範の話に戻りますが、確かに「合気道の世界」がなくなったら、あの独自の生き物の価値はどうなるんだろうかと想像してしまいました笑