みなさん、こんにちわ。
リーダーシップや組織マネジメントの本に「ビジョン」という言葉がよく出てきます。みなさんを「ここではないどこか」に先導していくために示せた方がよいのでしょう。
私は隔月くらいでアドバイスをいただきに行くメンターが何人かいます。そのうちのおふたりにビジョンについて伺いました。2人は少し対極的なところがあります。
まず、おひとり目。よく言われます。「事業のビジョン」を示せと。唸ります。業界的には厳しい環境にあり、なんらかのビジョンがあるべきでしょう。はい。示したいです。
ただ、私の懸念はふたつあります。まず、ビジョンを作れるかということと、みなさんにそれが腹落ちして理解してもらえるかです。
確かにその方は、親会社で会社を業界を引っ張ってきた大物です。いろいろご存知ですし、アンテナも高く、トレンドのご理解も進んでいます。業界の先行きもみえていたのだと思います。
その方の社長着任時のプレゼンテーションの際の話です。どーんとコンセプトを打ち出しました。ご本人はこれは絶対に言いたい。このコンセプトを軸に変革をしたい。それは周りは止められませんね。
結果としては、そのコンセプトがあまりに先駆的だったもので、聴衆のみなさんはあまり反応できていなかったように思います。それから何年か経っていますので、結果はわかります。奇しくも彼が示したビジョンのように世の中が変化しています。が、会社の方は反応できなかった=動けなかった、ので会社の変化は劇的には感じられません。
もうひと方と偶然、このことについてお話しする機会がありました。彼は素晴らしいビジョンのようなものは示した感じではありませんでした。ですが、組織長や現場が自発的に考えて動くような枠組みを導入し、毎年、その枠組みに沿って組織が動く状態を作りました。成果の大きい・小さいはもちろん議論の余地はあるでしょう。ただ、私はこれはマネジメント的には結構な偉業だと思っていました。
その彼曰く、「分からない」=「ゼロ」なんだと。見事な概念化です。たぶんこれは一生忘れません笑。理解できないから動けない。分からないから、怒りも悲しみも伝わってこないと言うわけです。うーんなるほど。伝わらないビジョンは毒にも薬にもならないのですね。
以前、組織の規律についてお話しました。同じように、組織には理解力と行動力のような能力もあるように感じています。上記の例は理解力は高いが、行動力は低い。なるほど、あんまり具体的にどうこう、が分からなくても、確かにみなさん、分からないとは言わなかったですね。
さて、今の会社はどうでしょう。理解力はたぶんそんなに高くない。でも、人間ですから、分からないと言うことは少し恥ずかしいので、そんなに突き上がってこないような気がしますね。一方で、機動力は高いように感じています。
この文脈で、私はどんなビジョンを示せばよいのか。そうですね。モジモジしないで、いくつかのわかりやすいコンセプトを示していかないといけませんね。