manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

伝えたいことをシンプルに

みなさん、こんにちは。

 

少し前のことですが、役員として仕事をしていく際に、いろいろな場で挨拶をしないといけないことに苦労をしていました。やれ乾杯の挨拶だったり、報告を受けての幹部総評だったりと、ちょっとしたスピーチをする機会がそれなりに増えました。話すことが無くて困ったこともありますが、困っていたことは他にもあります。私を送り出してくれた本体の役員にも「社員を総体としてどう捉えたらよいのかがわからない」と相談したこともありました。

 

1対1での面談は相手の思考を読み、理解度や相手の聞きたいことを理解しやすい順番で話をします。また、数人での打ち合わせでは、議論の流れを掴んで、ではこうしましょうと結論づけます。ですが、聴衆となると、途端にそれが捉えにくくなります。10人・20人の聴衆となると、どのようなことを聞きたいと思っているのかは人によって異なってくるでしょう。参加者も管理職もいれば、普通の社員もいます。長らく同じ会社に勤務しているメンバーもいれば、他社から移ってきたメンバーもいるでしょう。

 

コミュニケーションは聞く側が主体ということで、聞く側のプロファイルを捉えようとするのですが、どうにもうまく設定できません。さて、困りました。ですが、挨拶を繰り返したり、研修などの場で話をしているうちに、場慣れだけはしてきます。また、経験が長くなれば、こういうことをいうべきだな、ですとか、部下にこういうことを言ってくれるとありがたい、というリクエストをもらうようになったりとそれなりに話はできるようになってきます。聞いている側がどれほど感銘を受けてくれているかはさておきですが笑。

 

また、場慣れしてくると、これまで見えてなかったことが色々と見えてくるもので、頷いている社員もいれば、眠そうにしている社員もいますし、熱心にメモをとっている社員もいます。なるほど。1対1や少人数の会議とは、そもそも空気が異なります。そもそも聴衆のプロファイルを定義して、そこに聞きたいことを当てにいくアプローチが正しかったのかどうかも怪しく感じてきました。

 

そうですね。聞いている人の数が多ければ、こちらが投げかけた言葉をどう受け止めるかは基本的には聴衆の一人ひとりに委ねるしかありません。そうだとすると、聴衆に合わせて話す内容をコントロールしていくアプローチよりも、こちらが伝えたいことを多くの人が理解できるような簡単な言葉で発していくことの方が大切なのかもしれません。

 

というようなことを考えた上で、他の方のスピーチや講演を観察してみると、確かにみなさん発信が主のように感じてきます。加えて、論理よりも感情だったり、気持ちだったり、そういうものの方が伝播しやすいこともわかってきました。そうですね。聴衆は物事を理解するために話を聞いている、ということではなく、この人について行っても本当に大丈夫か、信頼できるのか、楽しいのか、そんなことを感じたいと思っているのかもしれません。だとすれば、聴衆のプロファイルを捉え、論理的に話を展開していくことは少しアプローチが異なるということなのでしょう。