manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

デジタルが運ばないもの②

みなさん、こんにちは。

 

昨日の続きです。Web会議で運ばれなくてよかったモノのお話をしました。さて、今日、人材開発チームのメンバーとの会話で、仮説をぶつけてみました。すると面白い返事が帰ってきました。確かに、シンプルに伝えたいことが伝えたいままに伝わってきましたが、説明は教科書通りでしたねと。むむむ。教科書通りってどういうことなの?

 

伝えたいことがあって、それを滑らかに話し、すっと頭に入ってくるのは確かにその通りな一方で、何か心を揺さぶる何かが説明の中にあったかというと、それはなかったということでした。なるほど。制度ってなんだろう、主旨や背景は何だろうということを理屈で分かってもらうにはよい展開方法だったのですね。

 

一方で、我々がどんな感情を持ち議論を重ね、どんな期待や熱い思いで、この制度を作って、みんなにどう動いてほしいか、この辺の心を揺さぶりたいところは伝わってこなかったと言うことになります。こちらとしては、言葉に気持ちを込めたつもりなものの、そんなものはデジタルの向こう側には届かなかったということです。

 

自分たちに都合が悪いものだけど削ぎ落としてくれるなんてことはありませんね。デジタルは悪いものも運ばなければ、よいものも運ばないわけですね。確かに言われてみればそうです。Web会議では感情は運ばないので、偉い人の圧力は減じられるような気がします。大きな声を出そうが、ボリュームを下げられればそれまでで、低く渋い声を出そうが、デジタルを通せば普通の声になっているかもしれません。そんな中で、Web会議をいくら重ねようが、感情がぶつかり、仲良くなったり、仲悪くなったりしないのでしょう。逆にいうと、音声や映像が限られますので、うまく工夫することで、印象操作や情報操作も可能となります。

 

そうだとすると、情報伝達には効果的である一方で、人を動かしたり、叱ったり、というところはWeb会議ではイマイチで、やはり対面には敵わないということになります。確かに冷静に考えてみればそうですね。猫も杓子もテレワークでWeb会議がよろしかろう、という訳ではないでしょう。とはいえ、出社に制限がかかっているみなさんは、テレワークとWeb会議に縛られているわけで、感情に働きかけたり、情に訴えたり、脅したり、揺さぶったりという技は封じられているというわけです。

 

少し前に、伊藤忠商事がテレワークを全面的に取りやめる、原則出社にという記事がありました。テレワークは非効率であるということでしたが、商社というお仕事とWeb会議の相性で考えると確かにそれはそうなるわなぁと思った次第であります。7月末に全社員のテレワークを再開したとのことなので、その後、パフォーマンスがどうなっているのかは伺ってみたいところですね。