manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

虫の知らせとリーダーの仕事

みなさん、こんにちは。

 

何かうまく行かなそうだなぁ、という予感がその通りになったご経験のある方は多いのではないかと思います。むしろ、そんな予感があった大抵の場合、そのようになってしまうのではないでしょうか。

 

その予感の原因となっていることがうまく言語化できていないので、虫の知らせだったり、なんとなくだったりしてしまうのでしょう。ただ、これでは再現性もなければ、予防もできないわけですので、すこしもったいないですね。

 

例えば、机上の理論ではうまくいきそうなんだけど、実際にやってみるとうまくいかない。こうした際には、実行が思うように行かない理由があるはずです。多くの場合は、それは人間関係に起因していますし、責任と権限がおかしなことになっていたりしていて、ここを正さなければ前に進もうとしても進めません。ですが、なかなか介入できない。人間関係は目に見えないのでわかりにくいですし、介入しようとしてもどうにもならないことが多いですね。

 

また、場合によっては、机上の理論にもこうよくしたいという意志が入っておらず、誰がそれをやりたいのか?何のために?がはっきりしないことすらあります。そして、関わる人は各々一生懸命ではありますが、組織としてのアウトプットがいまいちな状態が続いた結果、やはりうまくいかなかったとなります。

 

予感を感じる際には上記のようなことを感じ取っているわけですが、手を出さない理由もあり、そのまま進んでしまうわけです。ただ、経営ともなるとそれでできませんでした、では済まないので、なんとかすることが仕事になります。

 

経営トップが何かを言えばみんながしっかり聞くのかというと、そうではありませんが、しつこくメッセージを発信し続けることで、心に何かを残すことはできます。また、おかしな責任と権限は采配できる範囲であれば正すことも可能です。こうよくしたいという意志のない活動はやめさせることもできるはずです。ということですので、リーダーこそこのような予感、虫の知らせに敏感になって、その原因に対策していくことが大切になってきます。

 

一方で、経営トップもうまくいかない要因を作り出している側になっていることもあります。問題の当事者ではないにも関わらず、あれは違う、ここが気になる、気に入らないと妙な形で介入し、さらに問題を複雑にしてしまうこともあります。現場の問題だから現場でなんとかしなさいと意味のない指示をしてしまうような経営トップもいたりするかもしれません。情報が正しく入ってないこともあるでしょう。

 

逆に言うと、予感は当たると認識して、「なんとなく」の解像度を高め、経営トップが解決にコミットできれば、「なんとなくうまくいかないと思ったが、上手に克服できた」状態を作れるかもしれません。まずは「なんとなく」にしっかり向き合うことから始まりますね。

新たな風の起こしにくさ

みなさん、こんにちは。

 

ある日、突然、違う部署や別の会社から新しい上司がやってきたら、どのように感じるでしょうか?自分たちのことも仕事のことも何も知らない方がいきなり上司になるのですから、普通であれば今日から仲間とはなりにくいですね。ですが、サラリーマンたるもの、伝統的な日本企業であればあるほど、そんな感情は心の奥底に沈めて、あたかも歓迎しているように振る舞います。が、一方では注意深く観察しているわけです。この新しい上司は信頼できるのか、自分たちが力を尽くすに値する人物なのかどうなのか。

 

新しい上司の難しさは、組織を構成するメンバーからするとマイノリティであるにもかかわらず、ボスになれるかどうかを試されているところに尽きると思います。組織が大切にしていることを見抜いて、それを尊重しつつも、新たな成果を求められます。そのための活動を起こそうにも、信頼の貯金が不足しています。関係性も十分に豊かではありません。まぁ、何もできないのが普通ですね。

 

少し離れた立場から見てみると、こんなに非効率なことはないように思えますが、実はよくある人事です。では、何故こうしたことが起こるのかと言えば、それは今の組織が十分に成果を出している状態ではないからです。経営や株主がその組織のパフォーマンスに納得していない。これを何とかするために、これまでその組織にいなかった人が新たにアサインされるわけですね。

 

話を戻しますと、そういうシチュエーションの中で、新たに着任したリーダーはどうしても象徴的な何かを成したい気持ちが芽生えます。また、論理的にこうあるべきを目指したい気持ちになります。ですが、前任者ができなかった理由があるわけで、人間関係も豊かで、信頼関係もしっかりある人物が「できなかった」理由があるわけです。そこを特定して対策をしていかなければ、面従腹背が横行する組織ではアリバイづくりのための活動が繰り広げられて、結果何も変わらず、むしろ前任者がやっていたよりも状況が悪化してしまいます。多少時間をかけてでも、この「できなかった理由」を特定することが大切です。

 

一方で、前任者が何もやらなかった、問題を解くのはリーダーである自分の仕事ではないと思っていたケースもあります。古いタイプのリーダーですね。このような状態であれば、むしろ活動はやりやすい。いわゆる改革疲れしていない状況ですので、問題解決の手本を示し、組織に広げて、新しく価値観を浸透する諸活動を進めて行けば組織のパフォーマンスは上がっていくでしょう。

 

最後の要素は経営や株主に組織のパフォーマンスが上がったことを示すことです。実際にはコスト削減や生産性向上の効果となりますが、経営や株主のお好みはリアルにどれくらいの財務効果を生み出したかと言うことです。リーダーとして認められることと並行して、財務効果をしっかりアピールしていくことが成功には大切ですね。

キャリアプランとセカンドエース

みなさん、こんにちは。

 

人生も会社人としても後半に差し掛かっていますが、これからのキャリアについて整理するようにと指示を受けました。折角の機会なので、考えてみようと、この数日あれこれ思索を巡らせています。

 

定番としては、これまでのキャリアを振り返るところからとなりますので、過去の経歴を思い返してみますと、何と異動が12回。部署の位置付け変更や統廃合を含めてではありますが、改めて異動が多いなぁと思います(苦笑。2年から3年に一度は異動していることになります。もちろん、自分から手を挙げて異動しているわけではありません。

 

自分で言うのも何ですが、仕事はそれなりにできる方です。なのに組織から異動機会を与えてもらい続けるのは、妙なことのように思えます。確かに自分が偉い立場で考えると、エースは手元に置いておきたいです。周りを見ていると、そうなっているようにも見えます。何を言いたいかと言うと、私はエースでは無かったということです。

 

大企業な訳ですので、やれローテーションと言って、組織に異動目標が来たら、誰かを出さないといけません。また、何か全社プロジェクトがあるので人を出せともよくなります。そうした際にあんまりポンコツも出せません。部門の評判が下がります。かと言って、エースを出すと現組織のパフォーマンスが下がるのでエースは出せない。となると、適当に仕事の出せる社員に矢が刺さる、こういう流れでしょう。

 

若い頃は異動の度に、仕事経験や人間関係がリセットされるので、妙な苦労は沢山しました。ただ、振り返るとこの沢山の異動経験で得られたことは本当に多かったと思います。ですが、これを自ら意図して作ったかというと必ずしもそうではありません。エースではなく、2番手、3番手であるが故に得られた経験です。これは、人生後半になってからしかわからないので、若いみなさんには積極的に伝えていこう思います。

 

加えて言うと、キャリアの後半こそ、数年でポストが変わっていくことになります。後半戦で初めて経験するには辛いので、やはりかわいい子にこそ旅をさせるべきなのでしょう。

人気と構想

みなさん、こんにちは。

 

先日の記事とは逆の話になるのですが、とにかく人がよくて、人気がある。でも、業績や組織変革で結果が出ているかと言うとそうではない。そんな方のお話です。日頃の1on1での傾聴はもちろんのこと、話をじっくり聞いてくれるし、困った時の支援の姿勢もある。部下からは人気があるのですが、結果として、今できることをこなすままで組織は進化しない…。

 

組織のリーダーとして、みなさんの意見を聞いて、メンバーとの関係性を豊かにしていくことはもちろん大切です。ですが、組織はあくまで目的集団です。マネジメントの結果、組織のパフォーマンスが上がってナンボでして、仲がよいだけだと少しもったいない。ですが、実はそういう状態になってしまっている組織が少なくないように思います。

 

これは優しすぎるからとか、よい人だからとかそういう理由ではないと私は思います。「ここに行きたい」と本気で願う、組織や事業の構想目標が無いから、関係性がよくなった後に、メンバーに浸透させていくことがない。その結果、仲がよく、雰囲気のよいチームにはなるが、そこに止まる。いわゆるサークル型の組織となってしまいます。

 

同好会やサークルでは、目指す目的を達成するよりも、同じ趣味を持つ仲間が集い楽しく過ごすことやさが優先されます。もちろん、それを目的とした集団であれば、なんの問題もありません。ですが、企業は達成すべき目標があって中長期的に発展を目指すわけですから「楽しければよい」「楽ができる」だけなのは違います。

 

リーダーになろうという方ですから、こうしたことは頭ではきっとご理解されているのでしょう。ですが、こうしたらうまくいくという構想を持って、心からそれを実現させたいと本気で思い込めている方はそれほど多くはいらっしゃいません。多くの場合、誰かから任命されて組織長やリーダーになるわけですから、最初からしっかりと持てていなくても仕方ない面はあるでしょう。ですが、この構想をしっかりと持とう、もしくは持ちたい本気で思える方でなければ、組織長になった後、大いに苦労をする、むしろ不幸になってしまいます。

 

ところが、昇格面談ではみなさんどこかで言われているよさそうなアイデアを持ってきて、やり切ります、頑張りますと宣誓します。ですが、その裏には迸る熱も無ければ、本気でやりたい気持ちも覚悟もありません。昇格すればもちろん処遇がよくなるわけですので、欲しいのは当然ですが、そういう状態で昇格と成ってしまうのはやはり違うと思います。

 

もう少しいうと「甘くみている」ということでしょう。昇格した後に本気でやろうとしても、うまくいかない。うまくいかないけど、うまくいかせるために、自分のスタイルやコミュニケーションを変化させることができるか。チューニングの繰り返しが必要ですが、これがなかなか精神的にはタフな営みなので、耐えられない。結果、部門長として乗っかっているだけになってしまうわけです。

 

昇格の判断はいつも大いに悩むわけですが、やはりここの軸を振らしてしまうと、個人にも組織にも悪い影響が出てしまいます。温情や好き嫌いで決めることではありませんが、どうしても揺さぶられてしまいますね。人間ですから仕方ありませんね。

 

徳と人気

みなさん、こんにちは。

 

仕事はできるのに人気がない。そんな方がみなさんの周りにもいらっしゃるのではないでしょうか。仕事ができる以外にも、親会社から出向で子会社にやってきたり、若くして昇進したりと、人気が出ない理由はいろいろあります。人気がないことには理由がありますが、人気があることの理由はなかなかわからないかもしれません。

 

ひとつずつ見ていきましょう。仕事ができるということは、そのことは素晴らしいことです。一方で成果にこだわるあまり、周囲への配慮が欠けていたり、手柄に対する執着心が周りにも見えてしまうこともあるでしょう。ガツガツしているわけです。そうすれば人気は出ませんね。

 

親会社からの出向は、あえて言う必要がないほど、子会社にいる社員からすると不公平しか感じないでしょう。処遇面だったり、今の会社で成果を出しているわけではないのに突然上の役職で舞い降りてくるわけですから、不満がないと言えばウソでしょう。

 

若くして昇進は、諸先輩方を差し置いて偉くなっているわけですから、よほど人間的にできていなければ、何だよアイツ、となるでしょう。長々と書いてきましたが、要するにやっかみが生じがちな状況にある訳です。

 

一方で「人気がない」と、何かを起こそうとした際に、周囲はついてきてくれませんし、逆に何かネガティブなことがあれば、すぐに足を引っ張られてしまいます。ですので、これらのアゲている状況を乗り越えて人気を獲得できるかどうかは実は死活問題だったりします。では、どうすれば人気が出るのか。

 

人気とは「世間の評判。人々からの受け。」ですので、評判が上がることや受けがよくなることに取り組めばよいわけです。いやいや、そんなことわかってますよ、というツッコミを受けそうですが、一度、本当に人気が上がる何かをしているかを振り返ってみてください。特に会社でです。

 

会社はいわゆる目的を達成するために集まった集団な訳ですから、参加しているメンバーは仕事をして貢献すればよいわけです。人気を高めて貢献する必要があるか、ないかといえば、ありません。ですが、高いポジションになればなるほど、人気がないとことを成しにくい。ですが、会社という目的集団に参加しているメンバーは直接的にそれを求められるわけではない…

 

ということで、本論に戻りまして、会社で人気の出るような行為をするわけですが、何かと言いますと、徳を積むことが大切だと私は思います。何やら妙な流れになってきたなと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、いわゆる崇高な行いということではなく、ちょっとした貸しを作ったり、人に優しくしたり、ご馳走したりというレベルの徳でOKです。普通の方であれば恩を受けてそのまま借りたままにしておける人はあまりおらず、何かで返さないといけないと無意識のうちに感じてしまいます。このように徳が積み上がってきた方に対して悪く言う人はいないでしょう。冒頭挙げてきたような方々にはこれが足りてない訳です。

 

誰も教えてくれないのですが、こうした営みは非常に有用でして、仕事ができる人ほど取り組むべきだと私は思います。短期的な評価には1ミリもつながりませんが、リーダーとなり組織を率いていく立場ではとても大切です。偉くなった後に徳を積むのはなんだかイヤらしいので、若い頃からどんどん積み重ねていくのがおすすめですね。

 

 

よい人事と関係性

みなさん、こんにちは。

 

まだ半年近く前ではありますが、来年度に向けた人事異動の議論が始まりつつあります。足りないから人が欲しい、お年頃で順番だから昇進させたい、ということではありませんで、数年先の事業の発展を見据えたよい人事ができるようでありたいと願っています。では、どんな人事がよい人事と言えるのか、少し考えてみたいと思います。

 

今の能力で、十分にこなせるポジションに異動することがよい人事なのか。少し足りないポジショニングに行くのか、大分足りないけど、チャレンジとして行くのか。シチュエーションは色々だと思います。

 

一度、スポーツの世界に目を移して考えてみると、能力のある選手が強いチームに移籍し、必ずフィットしているかというとそうではありません。よくある光景だと思いますが、こういった状況を生み出してしまうのは何かというと、周囲と相性が合う合わないという要因が大きくあると思います。周りと上手にコミュニケーションを取れず、パスをもらえず活躍できないという情景です。

 

仕事の方に目を戻しますと、確かにポジションにおける能力の過不足は重要な要素ではあると思います。ですが、それと同じくらい周囲との相性は大切でしょう。というところで、ポジションと能力だけをみて「彼をあそこに配置しよう」としても、何だかしっくりこない。こうしたことが実際の人事ではよくあります。

 

一度そういう状況に陥ってしまうと成長も何もありません。本来であれば、割と簡単にできるような仕事もできない。組織の役に立っていないことを感じざるを得ません。これは仕事の能力が向上しようが克服できないわけです。手を入れるのは相性、言い換えると関係性です。逆側から見ると、仕事ができないことは異動したばかりであれば仕方ありません。なぜなら異動してきたばかりで状況を深く把握できていればそれは奇跡でしょう。多くの新任の方はほぼ何も知らないところから始まるわけですので、これはある意味では普通の状態です。

 

よい人事に話を戻すと、仕事の面でのストレッチは必要だとして、後者の相性、関係性がよい具合になってはじめて、うまくいったとなります。ですが、この後者を見極めることは実はかなり難しい。ご本人と組織を十分に理解し、関係性まで予測できていることは稀でしょう。ということで、経歴・能力・ポジションでハメてみて、結果うまくいかない人事が量産されてしまうわけであります。ということを嘆きたいが為に書いているわけではありませんで、この相性、関係性が当たることはマレなので、異動後にしっかりとフォローしていくことが大切だということです。こればかりは異動後でないとわからないし、異動後に起こった出来事で決まっていくわけですので。

合理的な判断とチームの一体感

みなさん、こんにちは。

 

昨日、一昨年とバレーボール女子代表のブラジル戦•トルコ戦を応援していました。2戦とも残念な結果に終わりましたが、特にブラジル戦は惜しい試合でしたね。ただ、この経験は必ずみなさんのためになるわけで、負けたことから大いに学んで次に繋げて欲しいと期待します。

 

ブラジル戦の終盤でエースでキャプテンの古賀紗理那選択が試合に出ないままにゲームセットとなりました。インタビューに対し、ご本人は「監督に聞いてください」。監督は「データによる判断」ということで、なかなかしびれる展開だなぁと拝見していました。ご本人からすると「全く納得できない采配」でしょうが、采配に不満を言うのも違いますので、不満はあれど従う他の選択肢はありません。

 

一方で、監督側にはいろいろ悩むところがあったように想像します。確かにデータで言えば不調なのは、分析されていたのでしょう。データは嘘をつきませんから、それは事実です。一方で、データと分析結果を踏まえて、判断をするのは人間でそこには感情も入ります。判断しないと言うのも判断ですね笑

 

監督は試合に出さないという判断をしたわけですので、データと分析結果を用いて判断しています。これは大いに称賛すべき振る舞いですし、この判断結果について評価をする立場ではございません。結果が勝利という形でついてこなかったので、批判や不満も噴出してくるでしょうが、そういったことも覚悟しての決断なのだと思います。勝負師として、勝負を賭けた魂の決断です。

 

その上で、敢えてこの判断について考えてみたいと思いました。これまでチームを率いることを信頼して任せてきたキャプテンをデータと分析結果で試合に出さない判断をしたことで引き起こされるであろう事象です。

 

当然ながら、何を言おうが、キャプテンからの不信感は消えないと思います。一方で、他のチームメンバーは、もしキャプテンが調子悪くてイマイチと感じているメンバーが多ければ、この監督の判断は合理的となり、感情的にどうかはさておき、そういう判断をする監督を信頼できるとなればついて行くメンバーはついて行くでしょう。感情よりも論理、選手の心理的満足よりも結果、ビジネス局面においても適切とされるような模範的な判断ですね。

 

他のチームメンバーに戻りまして、仮にこの判断がおかしいと感じるメンバーが一定いたとしましょう。キャプテンは不信感•不満があるわけですから、これらのメンバーには監督が個々に対話をし、監督の判断に納得してもらうプロセスが大切になります。ここが1番難しく、一方で負けた状態からチームをさらに強くするための一体感を醸成する為には何よりも重要だったりします。丁寧に対応できるかが、人としての監督の腕の見せ所なので大いに期待したいところですね笑