manaou's note

後で読みたいと思うメモをノートに

「答えを知りたい」のか「自分を見つめ直すのか」

みなさん、こんにちは。

 

先日、とある部下に昇格面談のフィードバックをしていた際のお話です。残念ながら不合格でしたので、こうあって欲しいと伝えていたのですが、会話が何やら噛み合いません。返ってくる言葉をよく聞いていると、どうやら「どうしたら合格するのか」を教えて欲しい様子が伺えます。合格した人と何が違うのか、自分は何ができるようになれば合格するのか。なるほど、確かに知りたいですね。それはそうなんでしょう。

 

当事者からすると少しわかりにくい話ですが、評価者側は「正しい答え」を言える人を合格としているわけではありません。ですので、その問いに対してのストレートな答えを返すことはできません。ついでに加えると、「合格した人がこうであった」と話したところで、その人とは異なる特性・強みが備わっているはずですので、真似ようとしたところで、劣化版のコピーになるだけです。合格した他者からヒントを得られたとしても、今いる地点から高まっていくのは自分次第ということになります。

 

振り返ってみますと、私も若い頃はもしかすると同じように思っていたのかもしれません。話は少し変わりまして、私は大学の頃からサッカーを本格的に始めたのですが、当初、ほとばしる身体能力を武器にひたむきにサッカーに取り組んでいました。とにかく走って、敵FWにしつこくマークし、個で勝負することを得意としていました。走力と体力、フィジカルに頼り、鍛えていった先に届く何かがあると信じて。ですが、残念ながら、その先には何もなく、むしろ年齢を重ねるにつれて、頼りにしていた走力・体力・フィジカルは衰える一方で、どんどん自分を見失っていきます。一生懸命に頑張る。これだけではダメなことに気づいたわけです。その後、紆余曲折あり、サッカーのスタイルを大きく変えていったわけですが、そこにあったのは「周囲を見ること」と「よいボールの持ち方」を心掛けることでした。その上で「観察をして」、「深く考える」ことに出会ったわけです。ただ、ひたすら一生懸命に頑張る、とは異なる境地です。何を言いたいかというと、これらの個々の動作は工夫をした結果、身に付けていったものであり、言わば結果のようなもので、「考えて、そこに至った」経緯が大切なのだと思います。

 

つまり、「これではダメだ」と客観的に自分を見つめ、自分に不足していること、自分の努力でできること、できないことを知り、他者の教えを請い、自分に合ったことを見つけ、練習し習得してできるようになる。この一連の営みが大切なのだと思います。ですので、昇格面談で不合格だった。これは、今の延長線上に成長を遂げていくことが難しい、もしくは会社からは求められていないという通知のようなもので、であれば、自分は今後どうあれば良いのかに向き合わなければなりません。

 

言葉で表現するのは簡単なことですが、これは自分に深く向き合うことが必要になりますので、とてもしんどい営みです。多くの人は、「いや、自分はベストを尽くしている。悪いのは評価してくれない上司や役員。奴らが悪い。」と、結果そのものを切り捨ててしまいがちです。ですが、そこで周囲の環境のせいにして、自分を慰め、今の自分を続けたところで、その頑張りはどこにも行きつきません。キャリアの成長の観点でも立ち止まっている状態です。

 

更に悪いことにポジションも今のままで成長を止め、どこにも行きつかないような、本人からしても、会社からしてももったいない状態です。ここで立ち止まっている方々が多くいます。「今のままでは、ダメかもしれない」と自分を見つめ直して、不安になりながらも、そこに立ち止まらずに「では、どうするか」を深く考えることが本当の意味での成長につながることを知ってもらいたい、と、いつも願っています。

 

ですが、いい大人になった皆さんには、この説法はなかなかに難しかったりしまして、この壁を乗り越えられず、いつも苦戦しているわけであります。